私たちの心は、今だけでなく、過去にも未来にも、瞬時に移動できる優れものです。そのお陰で、私たちの社会生活は成り立っているともいえます。ただ、あまりに心がせわしなく動き回ると、心の入れ物である体は、振り回されたような疲労感を覚えてしまいます。
そんな時こそ、「マインドフルネス」というあり方、今この瞬間に気づき、何ものにもジャッジせずに、ありのままで存在するというあり方に戻ると、体は安心して、リラックスすることができるのです。
今日は、マインドフルネスへの入口として、「スローダウンする」ことを試してみましょう。
例えば、肩が凝ったなと感じる時、その肩を回す動きでほぐしたりします。この動きをいつもの倍くらいの時間をかけるつもりで、ゆっくり行ってみてください。すると何が起きるでしょうか?
スローダウンすることで起きること
肩を動かすのは気持ちよいものの、「もっとはやく動かしたい」という思いが湧いてくる。
いつものペースで動かせないことで、イライラしたり、物足りなさを感じる。
気づいたら、いつもの早めのペースに戻っている。
◎ここで大切なのは、どんな思いや感情が湧いてきても、それを受け入れるようにしてみることです。そして、早いペースに戻っていることに気づいたら、再び動きをスローダウンさせるようにします。
思いや感情を受け入れると、しだいに心が動かすことにフォーカスされてくる。
動かしている肩や腕に生じる感覚や、動きに合わせて体が吸ったり吐いたりするのに気づき始める。
心が、体や呼吸に集中した状態が続き、気持ちが落ち着いてくる。
◎起きていることをできるだけジャッジせず、そのままを観ている状態を「マインドフルネス」といいます。動きをスローダウンさせることで、体や呼吸に起きていることをそのままに観て、感じている「マインドフルな状態」に入っていきやすくなります。
日常生活で心の忙しなさが増してきたなと感じたら、今している動きをスローダウンさせたり、時には一度、ストップさせてみましょう。意識が「今」という瞬間に戻り、マインドフルな状態に入りやすくなります。何かをスローダウンさせたり、ブレイク(休み)をとることに後ろめたさを感じる人がもいるかもしれませんが、その瞬間こそ、体や心が緊張から解放され、リラックスできる瞬間になり得るのです。ほんの数呼吸だけでも、ぜひ試してみてください。